オーランド1の暇人日記から

第三弾 「熱気球搭乗記」

 
痛快だ!
これは、マジに痛快だ。 
東の空に、太陽の破片が顔を出すのと同時に、ゆっくりと大地を離れて大空に浮かぶ。 
眠気も、何も、一気に吹っ飛ぶ。 
この痛快さは、例えようも無い。

数日前より、オフィスに働くK嬢が、熱気球のツアー会社と、電話で盛んにやり合っていた、
と思ったら、とうとうこのツアーに、私と、K嬢の二人を招待させてしまった。 
結構な歳なのだが、実にこましゃくれているK嬢に、向こうも根負けしたのだろう。 
取り敢えず、カツアゲの様な招待である。 
当のK嬢は、典型的な夜族なので、この早朝のツアーに登場するかな,と危ぶんでいたのだが、杞憂に終わった。 
さすがに、自らの戦利品の確認には、チャンと訪れたのである。 
集合場所で簡単な説明を聞き、離陸ポイントに向かう頃のK嬢の目は、もう、ぎらぎらしていた。

     

送風機で風を送って膨らませて…                        

さぁ!出発!

 

ツアーに使われる熱気球のサイズは、4〜6人乗りの小さなものから,10人も乗れる大きなものまである。
この日、私達が乗ったのは、一番大きな10人乗り、これにキャプテンを含めて9人が、乗り込んだ。
離陸ポイントでは、キャプテンの指示のもと、全員で気球を組み立てる。
まず、車から気球を降ろして、地面に大きく広げる。
その、広げた気球に、送風機で風を送り、ある程度、膨らませておいてバーナーを点火すると
,気球は見る見る立ち上がった。
歓声が上がり、誰の顔も興奮と期待感で上気している。
キャプテンの誘導で、一人ずつ乗り込む。
それぞれが、自分の位置に着いた時、気球はフワッと大地を離れた。

幻想的な気球の夜明け ディズニーワールドの隣は原生林


静かである。
全く静かである。
まさに、漂うがごとく空中にあるのだ。
耳にするのは、時折聞く「ゴー」と言うバーナーの音と、キャプテンの解説、それにK嬢の声。
「怖い!もう少し低く飛べ!これ以上高く上がるな!下ろせ!降りる!」
頭に思いついた言葉が、時間をおかずにそのまま口から出てくる。
それらを無視すると、そこは静寂
が支配する、全くの別世界である。

この丸い気球にも、前と後ろがあり、キャプテンは常に前を向いている。
キャプテンと、背中合わせに乗った私は、いつも後方を見ているので、キャプテンが指さしながら説明してくれるものは見えない。
しかし、この痛快さには説明など無用だ。
K嬢は、と言うと、いつのまにか身を乗り出して、写真を撮っているが、

時折、我に返っては、既に、パターン化してしまった言葉を、今度は、蚊の鳴くような声で反復している。
1時間ほどの、小旅行を終えた気球は、離陸ポイントとは別の、着陸ポイントに、ピッタリと降りた。
そこには、既に、迎えのクルーが待っていて、再び、参加者全員の作業で、気球をたたむ。
そして、キャプテンがシャンペーンを、開けて、みんなで“乾杯!”誰も一様に、満面の笑顔で、グラスをあおる。

このあたりから、K嬢の調子も、戻ってくる。
「楽しかった! 素晴らしい! 爽やか
だ! 気持ちいい! 最高の気分!」
やれ,やれ・・・・・・・・

 

再び、最初の集合場所に帰ってくると、アメリカン・バフェの、朝食が

待っていた。

皆でテーブルを囲み、和気あいあいの食事となる。

頃合いを見て、熱気球体験の証明書が渡される。

この証明書なるものが、真にお粗末なのが“アット・ホーム”っぽくて、

微笑ましい。

この朝は、何の変哲も無い、安物のコーヒーを、旨く感じてしまった

 

一言居士とは

何事につけて、一言意見を言わないと気のすまない人のこと。

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